宮城県名取市「天気と写真のおはなし会 気象キャスターと一緒に天気のことを考えてみよう」を開催しました(2019年9月14日)

仙台の鈴木智恵です。東日本大震災以降、毎年行っているWCN被災地イベント。ことしは9月14日土曜日、宮城県名取市の名取市図書館で開催しました。

今回は新企画!図書館内の「おはなしの部屋」というお互いが近い距離で、絵本や写真を紹介しながら、天気や自然などについて楽しみながら考えるひととき。お越しいただいた50名を超える大勢のお子さんや親御さんの、そして話をしているメンバーの“いい顔”が印象的でした。

また、空の探検家・武田康男さんの「空と南極の映像とお話」では、スクリーンから飛び出だしてくるような動きのペンギンに大歓声が上がり、オーロラのカーテンには大人もすっかり魅せられていました。

そして、被災地の視察では、「閖上(ゆりあげ)震災を伝える会」の語り部お二人に、現地をご案内いただきました。

参加した会員のみなさんからの感想を一部ご紹介します。

◇伊藤 みゆきさん
今回はこれまでにない切り口で、これまでのような実験も交えて天気に興味を持つことや防災について伝えることが出来たと思います。参加したひと全員が、自ら得意なポイントで子供たちの前に立っていたので、参加者も子供たちもキラキラとしていたと思います。進行もみんなで協力して時間内に終わらせようというアットホームな中にも緊張感があり、とてもまとまって見えました。「正解のシール」をもらう子供たちも楽しそうでしたし、雲作りや竜巻実験、写真紹介はお母さんたちも感心してみていました。靴を脱いでリラックスできる空間だったのも良かったかと思います。雲を怪獣に見立てて、そんな雲を扱った絵本を紹介し、竜巻の怖さや仕組みも紹介できて、図書館で行う意義も含めて見事な構成だな~と感心しました。
視察した名取市は、震災の日にNHKテレビでヘリからの空撮が川を遡上する津波と飲み込まれる田んぼや道路を映し出していたところだったので、その場所に行ったときに若干フラッシュバックが起こるくらいでした。でも、被災した方々が力強く・明るく話してくださる様子をみて、わたしもしっかりみつめて伝えていかなきゃなと感じました。津波から難を逃れたのは、偶然が重なった・運が良かったとおっしゃっているくらい危険な状況だったこともわかりました。「地震の避難訓練はしていたが、津波の訓練はしなかった」「この土地には津波が来ないと言い伝えられていた」など日ごろの供えの大切さや避難所で会えることの幸せさを知りました。

◇海老原 美代子さん
図書館という場所柄、たくさんの親子連れの方々が集まってくださり、とても楽しかったです。写真や絵本を紹介するという新しい企画でしたが、紹介する我々と参加した子供たちの距離が近く、紹介しながら直接質問や感想などのやり取りがあり、会場に一体感があったと思います。雲を作る実験、竜巻を発生させる実験ともに大盛り上がりで、クイズに正解するとシールがもらえるシートも、子供たちが食いついていて可愛かったです。岡さんのクジラの骨、武田先生の南極の氷、実物は子供だけでなく大人も感心していました。身近な絵本や写真から、空や天気への興味が広がってくれたらと思いますし、絵本や写真は良いきっかけになるのではと改めて感じました。
そして、まだまだ震災後、復興できていない場所がたくさんあることを改めて実感しました。語り部のお二人の体験を聞いて、辛い体験ですがそれを語り継ぐ、語り続けることの意義を感じました。私もその場所で聞いたからこそ、色々考えることができたと思います。何年たっても、現地に立ち、話を聞いて得るものは多いし、語り部のお二人が自分達の地域だけではなく、他の地方の防災、減災を考え活動されていることに深く感心し、自分も見習いたいと思います。

◇岡 有一さん
子供達の新鮮な好奇心の眼差しに刺激され、心が洗われるひとときでした。そして、被災地の視察では「死ななくてもいい命があった」と語り部の高野さんは、何度も口にしていました。消防団員だからこその話。「自分の命は自分だけのものではない。」支え合ってこそ地球上で生かされているのが人間であることを改めて感じさせられました。「生きるために何をなすべきか」を常に見つめていられる自分はいるのか。問いかける機会でした。

◇杉村 友希さん
本や写真の紹介で構成された今回のおはなし会は、被災地イベントとしては、新しい取り組みだったと思いますが、それぞれの予報士の皆さんの思いの詰まった本や写真を、子供だけでなく、大人の方も興味深く聞いていたのが、とても印象的でした。会場もすごく素敵で、自由にリラックスして聞いてもらえる雰囲気がとてもよかったです。
そして、実際に津波が来た場所を視察するだけでなく、津波を目の当たりした方のお話は、ひとつひとつがとても重みのある言葉であり、改めて忘れてはいけない事だと実感しました。思い出すのも辛いほどの経験をされているにも関わらず、語り部として活動しているお二人の力強さも感じました。

◇鈴木 秀美さん
いつものプログラムに加えて、本や写真の紹介を入れたことで、バラエティ豊かなプログラムになっていて良かったです。図書館という場所にもよく合っていました。
視察は、実際にかなり間近で被災された方々から、非常に臨場感のある話を聞けてとても勉強になりました。話し方もとても上手で聞きやすく、時間が許せばもっとたくさん話を聞きたかったです。

◇竹下愛実さん
今回は初めて図書館でのイベント開催となり「静かな会になるのかな?」と思いきや、名取市図書館は小さいお子さんも安心の「にぎやかに楽しめる図書館」。写真や絵本を見せながら気象予報士たちが繰り出すお話に、みんな「知ってるー!」「なにそれー!?」などと元気な声を上げながら楽しんでくれました。はつらつとした表情の子どもたちに、明日からもまたがんばろう、と力をもらいました。
そして、視察では、やはりお一人お一人に忘れたくても忘れられない記憶があり、亡くしたくなかった大切な人がいて、そしてそれぞれの方法で前を向いていらっしゃるということを改めて感じる機会となりました。閖上に起こったこと、そして閖上の人たちのことを、今後も伝え続けていきたいと思います。

◇武田 康男さん
子どもたちが近く、反応がダイレクトに伝わり、楽しかったです。視察はいつも勉強になっています。

◇吉田 晴香さん
今回は、本をきっかけに天気を紹介しようという新しい試みでした。子どもたちは興味を持ってくれるか不安な気持ちもありましたが、いざ始まってみるととても反応がよく、ホッとしました。お天気クイズでは子供らしい反応が飛び出て会場が笑いに包まれ、終始、和やかな雰囲気でした。「おはなしのへや」という比較的コンパクトな、靴を脱いで上がるスペースで、子供たちとの距離が近かったのも良かったと思います。
また、閖上の視察で印象的だったのは、閖上の被害が大きかった原因が、海からの距離の近さだけでなく、内陸への道路の少なさだということ。改めて、自分の住んでいるところの特徴をきちんと把握しておくことと、それに見合った避難方法を考えておくことが必要だと感じました。


東日本大震災から8年半の名取市の今を視察して感じたことを、今後、どう伝え、どう生かしていくのか。そして、地元のこどもたちに楽しんでもらうために何ができるのか・・・あらためて向き合って、考えていきたいと思います。
最後になりましたが、イベントにお越しいただいたみなさん、そして全面的にバックアップしていただいた柴崎館長をはじめ名取市図書館のみなさん、閖上震災を伝える会の高野さん、菊池さん、本当にありがとうございました。(仙台・鈴木智恵)