12月5日理事のお天気だより

九州地区の気象キャスターの方々を中心にご存じの方も多いと思いますが、九州地区では、報道機関と国、気象台、市町村などの防災機関が一緒になって災害報道について意見交換をする「九州災害情報(報道)勉強会」があります。

2015年に発足し、年10回程度のペースで勉強会を開催しており、報道機関、防災機関の双方が、かなり本音で意見をぶつけあう場となっているようです。

中国地方でも九州の動きを参考にして2020年から勉強会を立ち上げています。おととい広島市で開いた勉強会では、九州地区の勉強会の幹事である福岡放送(FBS)・田中さんと九州朝日放送(KBC)・臼井さんに、九州地区の勉強会の取り組みや「気象災害に関する放送用コメント案」をまとめた経緯について色々と話を伺いました。

 

近年、特に人命に関わる気象災害のおそれが高まった際に、気象庁(気象台)と国交省(整備局)が合同で会見するスタイルが定着していますが、これも九州の勉強会での議論から始まった会見の形です。2017年に起きた九州北部豪雨で、もっと事前に予報官の危機感をうまく伝えることができたのではないかという振り返りの中で、報道機関と防災機関の「危機感共有」の方法を検討する中で始まりました。

 

今回、みなさんにご紹介する「気象災害に関する放送用コメント案」は2つあります。

・「土砂災害編」(全62ページ)

・「河川(洪水)リスク編」(全120ページ)

 

毎年のように大きな災害を経験する中から、報道機関と国や気象台、市町村の担当者の有志が毎週火曜の夜に集まり、どのように話をしたら視聴者に伝わるか、危険から逃れる行動を取ってもらえるかについて1年をかけて議論してまとめたものだそうです。

内容を見ていただければわかると思いますが、ただの放送用のコメント案というよりは、災害の基礎的な知識やなぜその情報が発表されるのか背景的なことを、実例などを交えて解説している教科書的な要素も非常に強いものとなっています。そのままコメントしてもらうためのものという以上に、このコメント案をベースに各社でどのように伝えるかを考えていくものだと思います。

会員のみなさんも、大雨や台風の接近などで災害の事前呼びかけや災害進行形の際に、どのように視聴者の方へ伝えるかは日々悩まれていると思います。このコメント案は九州地区に限らず全国の気象キャスターの方にとって大いに参考になる内容が多く詰まっていると思います。全国の気象キャスターの方にも共有していただきたいとのことでしたので、今回ご紹介させていただきました。

※実際のコメント案については会員のみに公開中です

担当:岩永哲