6月6日 理事のお天気だより

6月に入り、きょう関東甲信で梅雨入りが発表され、
西日本や東日本でも本格的な大雨シーズンを迎えました。
そんな中で、ちょっとローカルな大雨関連のネタですが、
「広島市では区ごとの
 警報・注意報の発表が始まった」
という話題とその背景についてです。

広島市ではことし3月から気象警報の発表について、
これまでの「広島市」という発表区分から
「8つある区ごとに発表」する形に変わりました。
正確にいえば、大雨に限らず
すべての警報・注意報を
区ごとに発表するようになっています。
仙台市のように東部や西部に分かれて
発表される例はありますが、
区ごとの発表は政令市では全国で初めてです。
(特別区である東京は除く)


なぜ、区ごとに発表することになったのか…
その最大の理由が、雨の降り方に地域差が大きいためです。
広島地方気象台のまとめによりますと、
2017年7月から3年半の間に
広島市には全部で34回の大雨警報が発表されました。
もし、これを区ごとに発表していた場合、
最も多い佐伯区では30回発表される一方で、
南区や安芸区では9回しか発表されない結果となりました。
同じ広島市内でも多い所と少ない所で
3倍以上の差があります。


区によって発表回数に大きな違いがあるのは、
ザックリと言えば
「郊外の山沿いの方が激しい雨がより降りやすい」からです。
2014年に77人が犠牲となった広島土砂災害や
2018年の西日本豪雨で多くの犠牲者が出たのは、
郊外の山沿いの地域です。
平地が少ない広島市では平地が少なく
山の斜面を切り開いて多くの住宅地が広がっています。
そして土砂災害の危険エリアに多くの人が住んでおり、
土石流の直撃を受けて甚大な被害につながります。


今回、警報を区ごとに発表することで期待されているのが、
自治体の防災対応の効率化です。
広島市は、合併で市全体の面積は広く、
同じ市内でも気象条件が大きく異なるため
大雨への警戒や避難情報を出すかどうかの防災対応は
それぞれの区ごとが判断して行っています。
一方、これまでは「警報」や「土砂災害警戒情報」が
広島市全体に発表されていたため、
区によっては、たいして雨が降っていないのに
大雨に関する情報が度々出されることがあり、
発表される情報に対する信頼度の低下が懸念されていました。


こうした状況を受けて、去年6月からは
自治体が避難指示を出すか判断する目安でもある
「土砂災害警戒情報」は区ごとの発表に変更され、
今回の警報・注意報の変更は、それに続く形といえます。

また、大雨以外の警報・注意報についても
市全体へ発表する形のままだと
受け手の混乱が危惧されるため、
すべての警報・注意報に対して
ことしから区ごとの発表へ変更されています。
(波浪や高波、高潮などは海に面した区のみ)

広島市以外の政令市に区ごとの発表の流れが進むかは
それぞれの市で事情が異なるのでわかりませんが、
雨や雪の降り方などで地域的に大きな違いがある市では
区ごとに発表する方がいいかもしれないケースは
あるような気はします。
みなさんのお住まいの地域はいかがでしょうか。

担当理事:岩永哲