6月13日 理事のお天気だより

「理事のお天気だより」 モザンビーク編(その1)

今期から、「監事」を務めさせていただいております、登内(とのうち)です。現在、気象業務支援センターで、海外における気象技術支援を担当しております。「お天気だより」では、海外の気象局の様子などを、お届けしたいと思います。

 第1回目は、これまで行った中でもっとも遠い「モザンビーク」です。行ったことはもちろん、聞いたこともないという方もいらっしゃると思いますが、アフリカの南東部、マダガスカルの対岸、南アフリカ共和国の北側に位置します。
 南インド洋でもサイクロンが増加しており、モザンビークでは、数年に1度だったサイクロンが、ここ数年は、毎年やってきます。
 モザンビークの天気予報は、いつもは、朝と夕方にモザンビークの北部・中部・南部の地方単位の予報と、大きな10都市の明日の天気と気温予報を発表しています。サイクロンが来たり、気象ネタがあるとTV局のクルーが来て、インタビュー形式で取材をし、夕方のニュースの中で放送しています。ただ、地方ではテレビ自体がないところも多く、また、言葉が数十あるので、首都マプトからの放送を、それぞれの地方で現地の言葉に翻訳して、ラジオで流すのが一般的です。サイクロンなどの情報を全国に流すには、少なくとも2日前には発表しないと、住民に伝わらないのが実情です。


TV局のインタビュー


TV放送システム(英国供与)

 このようなモザンビークにも、イギリス気象局が簡単なTVシステムを供与して、2015年から、1日1回の天気予報番組の収録が始まりました。番組では、今日の天気、気象衛星、明日の天気・気温予報を伝えており、予報作業のパソコンや海外の気象局のホームページから、画像をコピーしてシステムに入れ、クロマキーの前で解説します。午後2時~4時頃に撮影し、画像ファイルでTV局に持ち込み、夜8時前に放送されていました。

 イギリス気象局(UK-Met-office)は、この頃からImpact-based-forecastingを提唱し、WMOに働きかけており、ここ数年、アジアも含め多くの気象局が、取り組んでいます。
 Impact-based-forecastingのコンセプトは、
An evolution from “what the weather will be” to “what the weather will do“
で、気象情報を、「天気がどうなるか?」から「天気でどうなるか?」(天気のインパクトを伝えること)に変えていくことを提唱しています。

 各局で活躍しているキャスターの皆さんは、以前からこういった情報発信が求められているのではと思います。難しい話がたくさん書いてありますが、興味のある方は、参考にしてください。
https://public.wmo.int/en/media/news/impact-based-forecasting-informs-anticipatory-action
https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=17257#.YoRvU-jP2Uk


気象局本局(2016-WMO-day)


Beira空港観測所