気象環境ツアー『国道274号日勝峠の視察』を開催しました(2018年6月16日)

会員の皆様、こんにちは、事務局の藤森です。
今年6月に北海道で開催された視察会について、札幌在住の会員吉井さんから報告が届きました。

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国道274号日勝峠の視察を終えて

北海道文化放送 吉井庸二
6月16日

2016年に北海道を襲った連続台風。8月だけで、5個の台風が北海道に接近または上陸する異常事態となりました。中でも8月30日から31日にかけて北海道に接近した台風10号は、太平洋側から日本海側に抜けるという異例のコースを取り、長時間にわたり東寄りの暖湿流が日高山脈にぶつかり地形性降雨によって、記録的な大雨をもたらしました。北海道の道央と道東を結ぶ日勝峠は、この大雨によって、川の氾濫や土砂災害によって66箇所で道路が被災しました。今回、その大きな被害のあった場所の5箇所を視察しました。

① 落橋現場 大颱橋
上流から流れてきた土砂や流木によって洗掘され橋の土台が落橋したとこのこと。すぐ隣に仮橋を作り、対応していました。今は、護岸ブロックを並べ補強をしていました。

② 旧国道
現在は、使われていない道路ですが、当時の被害のままとなっていて、数十メートルから100メートルくらいの規模で土砂が削られていました。また、橋にかかるガードレールは流木や土砂によって大きく曲がっていました。

③ 盛土洗掘 道路本体が被災
川の氾濫によって道路の盛土が100メートルほど崩壊。道路自体が崩れてしまった箇所です。川が道路に向かって湾曲していて、川の氾濫で湾曲部分が削られ、大規模な崩壊を起こしたということです。現在も、被災前の川の流れと100メートルほど離れたところに新たにできた川の流れが2つありました。

④ 土石流
道路の山側で発生した土石流が道路に堆積し、谷側の法面を崩壊させました。砂防堰堤を補強し、土砂が流れてきても堆積できるスペースを作って対策していました。また、道路の地下にある雨水や土砂を通す横断管のサイズを大きくして、埋没を防ぐ対策をしていました。

⑤ 切土崩壊
十勝地方側の被害はほとんどが斜面崩壊です。大量の雨水が斜面を流れ、数百メートルの斜面が至る所で崩壊したということです。復旧作業では、透水性のある砕石を斜面に敷くことで、対策をしているということです。

視察を終えて
当時は、日高町の中心部にも川の氾濫で一部危険な状況だったそうです。北海道開発局も台風10号は事前から警戒をしていて、パトロールを強化し、早めに通行止めの判断をしたとおっしゃっていました。これだけ大規模な災害が起きたにもかかわらず、日勝峠での人的被害がなかったのは、開発局の方達の日頃からの努力だと思います。大きな橋が落ちたり、川自体が大きくコースを変えてしまっている様子を見て、自然の恐ろしさを改めて感じることができました。それとともに、これだけの被害がありながら、わずか1年で復旧させてしまうという、人の技術の力も知ることができました。現場を見ることによって、防災の時に、天気予報で何を伝えるのかを、改めて考えさせられました。


写真1:被災箇所の模型。約40キロあまりで66箇所


写真2:大颱橋(だいたいばし)護岸ブロックで補強


写真3:折れ曲がったガードレール。流木や土砂が残っていました。


写真4:砂防堰堤 コンクリートの周りには木で装飾し、自然にも馴染む作り


写真5:十勝側の斜面崩壊場所


写真6:熱心に話を聞きます


写真7:今回の参加者

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吉井さん、お忙しいところ貴重な写真と報告をありがとうございました。